管理者は幼少の頃にエーリッヒ・フォン・デーニケン(Erich von Däniken)の『神々の帰還』を読んで以来、超常現象に興味を持っている。 と言っても超常現象ビリーバーではなくてアンチの方である。 世にある「超常現象」のほとんどすべてがイカサマであることは承知してるが、(擬似科学の代表格である)占星術に関しては長年ある疑問があった。 まず、テレンス・ハインズ著の『ハインズ博士の「超科学」をきる』(化学同人社、井山 弘幸訳)の引用を読んで欲しい。
新しい知識と直面しても容易に自説を変えまいとする、占星術師たちの態度の代表的な例を一つ示そう。 それはすなわち、天文現象である経年変化を説明できないでいることだ。 一定の日付を一定の星座に結び付ける習慣は 2000年前に確立したもので、それ以降の占星術師たちは同じ考えを踏襲していた(たとえば、白羊宮は3月21日から4月19日の期間に対応している)。 3月21日から4月19日までの間は太陽は白羊宮(牡羊座)に "ある" というとき、それは地球から見て太陽がその星座の占める位置にいることを意味している。 こうした 12 の星座とそれぞれに対応する期間は、確かに 2000 年間には一致していたのだが、今日ではそうではない。 地球は自転軸をゆっくりゆらしながら回転しているため、星座のなかに占める太陽の地球からの見かけの位置は何世紀もの間に変化している。 現在までにその変化によるずれはほぼ星座一つ分に対応していて、3月21日から4月19日までの期間は、白羊宮というよりもむしろ双魚宮(魚座)に対応している。 つまり、かりにあなたが白羊宮の生まれだとすれば(誕生日が3月21日から4月19日までの場合)、あなたが生まれた時の太陽の位置は白羊宮ではなく双魚宮にあったことになるわけだ。 2000年この方、占星術師たちは誤った星座に基づいて予言をしたり、ホロスコープを作成したりしてきたのである。 いわゆる "熱心な" 占星術師の多くは、経年変化の事実に基づいてはいるものの、「現在の星座は 2000 年前に正しく対応していた期間の影響を記憶にとどめているのだ」などといって、はなから相手にしないようである。 「それではどうして同じ星座がもっと以前に対応していた期間の影響を覚えていないのか」というもっともなぎ疑問はあるが、彼らはそれを説明しようとはしない。
(8章 占星術という名のニセ科学 P.168〜169)
はたしてハインズ博士の言っていることは本当なのか?
もしこれが本当だとしたら占星術師と呼ばれる人達は、なぜ方法を変更を加えないのか?
自分の本当の誕生星座は何なのか?と疑問が湧く。
で、いろいろ調べているうちに以下のことが分かった。
元もと占星術は黄道十二星座を用いる占いではなく、黄道上の太陽の位置を使って占う謂わば太陽占いだったということだ。 「占星術」は春分点 (*1) を基準にして黄道を 30°づつ十二分割し、生まれた日が太陽が黄道の十二区域のどこにあるかでその人の運命が決まると考えたようである。 このパラメータは太陽の動き(実際は、地球の自転と公転)のみで決まり星座は絡まない。 ただ十二分割領域の識別のために天球上の背景である星座を当てはめた(*2)。 従って本来の占星術は誕生宮とその名前の由来となった星座の意匠とは無関係だ。 天球上に存在する黄道12星座と占星術に使う黄道12宮(Zodiac)は別物なのだ。 そうであれば理論的な矛盾は発生しない。 歳差運動の結果、春分点の移動が起きてもへっちゃらなのである。
しかし背景の星座が占いに影響を与えると信じる人達もいて、天球上の星座の実際の位置で誕生宮の取り方を変えるやり方を編みだした。 これをサイドリアル・アストロジーと呼ぶらしい。 古典的な春分点から十二分割の方はトロピカル・アストロジーと命名された。 サイドリアル方式の場合は、天球上の星座の実際の大きさも考慮するので、誕生宮に対応する期間も長短があるようだ。
という訳でトロピカル方式でもサイドリアル方式でも一応春分点歳差への対応・反論はあるようですぜ。 > ハインズ博士。
もっとも世に広まっている星占いは、トロピカル方式とサイドリアル方式のあいの子のようで、トロピカル方式で日付を決めるけど誕生星座と誕生宮を区別しないいい加減なものらしい。
# どの方式でも当たらないだから、理論的裏付けがあやふやでも構いはしないけど。。。
で、占星術に興味のない人とっては自分の生まれた日に太陽と重なる星座が誕生星座であろう。
つまりサイドリアル方式の方が実感に近い。
しかしサイドリアルの日付の取り方の情報は身近にないし計算が面倒である。
そこで2000年前と比べて春分点が 約24°ほど移動していることを考慮してトロピカル方式で自分の誕生日の約24日前の誕生宮を誕生星座とする方式を提案する。
10月生まれの管理人の場合、誕生宮は天秤宮で、誕生星座は乙女座となる。
誕生日 | 誕生宮 | 誕生星座 |
---|---|---|
3/21-4/14 | 白羊宮 | 魚座 |
4/15-4/19 | 牡羊座 | |
4/20-5/13 | 金牛宮 | |
4/14-5/20 | 牡牛座 | |
5/21-6/13 | 双子宮 | |
6/14-6/21 | 双子座 | |
6/22-7/14 | 巨蟹宮 | |
7/15-7/22 | 蟹座 | |
7/23-8/15 | 獅子宮 | |
8/16-8/22 | 獅子座 | |
8/23-9/15 | 処女宮 | |
9/16-9/22 | 乙女座 | |
9/23-10/26 | 天秤宮 | |
10/17-10/23 | 天秤座 | |
10/24-11/26 | 天蠍宮 | |
11/17-11/22 | 蠍座 | |
11/23-12/16 | 人馬宮 | |
12/17-12/21 | 射手座 | |
12/22-1/14 | 磨羯宮 | |
1/15-1/19 | 山羊座 | |
1/20-2/12 | 宝瓶宮 | |
2/13-2/18 | 水瓶座 | |
2/19-3/14 | 双魚宮 | |
3/15-3/20 | 魚座 |
(*1)
赤道を仮想的にどんどん広げていったものを天の赤道と呼ぶ。
天の赤道と黄道がぶつかる位置が 2 箇所ありこれを春分点、秋分点と呼ぶ。
太陽が春分点を通過する瞬間を含む日が春分の日である、秋分点を通過する瞬間を含む日が秋分の日である。
(*2)
占星術として利用するために 黄道十二星座 が選ばれたのか、黄道十二星座がすでにあって占星術がそれに割り当てたのかは定かではない。
私見では後者の可能性は低いと思われる。
各星座が天球上に占める面積はまちまちなのに、それを無視して十二宮は黄道をきっちり 30°に分割しているのだから。
実際には黄道十二星座というのは黄道を横切る星座ではなくて、黄道近傍にいる星座だ。 例えば牡羊座は黄道を横切っていない。 この基準からすると、(よく知られていることに) 蛇使い座と(あまり知られていないことに) くじら座が黄道星座に含まれるなくてなならない。
黄道十四星座の誕生だ。
この文書は 2003.3.16 の日記 から作成しています。